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vol.2 渡辺 旭インタビュー 2020年5月3日

渡辺 旭のレーベル・マネージメントについて(愚痴っぽい)



2020年5月3日に聞いた



インタビュアー:前回のインタビューの反響を感じる前に、続きのインタビューをしてみようと思います。 よろしくお願いします。 渡辺:お願いします。 スニーカーを使った例えが無くなってたやん。 インタビュアー:スニーカー詳しくないから、あの例えの部分がうまいかどうかも分からなかったからね。 色々とふまえて、読まれる方は前回(vol.1)から読んだ方が良いかもですね。 前回はライブハウスのあれこれを聞かせてもらったんで、今回はレーベルのあれこれを聞けたらと思います。 率直に聞こうかな。 2020年5月 レーベルで今1番厳しいことを教えて下さい。 渡辺:率直やね! 一般的なレーベルじゃなくで、THE NINTH APOLLOとして1番厳しいことで合ってる? インタビュアー:そうだね。THE NINTH APOLLOで。 渡辺:とりあえず、区別しておきたいのが THE NINTH APOLLOはレーベル部門とマネージメント部門があって、 その違いが分からないと、読んでもらってる方々には分かりづらいと思うんで、 極端にざっくり説明すると レーベル:CD、DVDなどを売る部署 マネージメント:ライブ運営、マーチャン販売(グッズ販売)などのアーティストの活動をサポートする部署 これを踏まえて読んでもらえたら進めやすい。 インタビュアー:ざっくりだけど、分かりやすいね。 じゃあ、レーベル部門の今1番厳しい所は? 渡辺:とにかく厳しいとこを聞きたいんやね。 うちのレーベルで言うとモノを売ることがほとんどの売り上げになってるから、 CD屋さんが閉まってるのは痛い。 4月に新しいCDも出したとこやから、直撃はしてる。 ただ、CD屋さんが閉まってるとは言えネットとかでCD売ってたりするから、売り上げはかなり落ちるやろうけどゼロにはなってない。 他のレーベルとかは配信を分厚くやってるとこはそれなりに売り上げあるやろうと思う。 ただ、自粛中は時間あるからサブスクの再生時間伸びてると思いきや、通学通勤時間が減ったせいで伸びてないとかは聞くかな。 インタビュアー:なるほど。そりゃ店舗やってない分、売り上げは落ちるよね。 このタイミングの音楽業界打開策として打ち出されてた配信とサブスクもそんなにだったってこと? 旭くん的打開策はある? 渡辺:詳しい数字は見てないから、なんとも言えないけど打開策にはならなかったみたいやね。 まあ、サブスクユーザーは増えていってると思うけど。 打開策では無いけど、バンドたちがライブも無くなったし曲作りして次の音源制作の準備期間に当ててたりしてるから、数ヶ月後に良い音源作って取り戻せるかなとは思う。 各地のバンドがそうやろうから、半年後とかはバンド界に名曲が溢れ返ってそうやね。 インタビュアー:名曲溢れ返ってたら、自粛の我慢が報われる気がするね。 次はマネージメント部門の話を。 マネージメント部門で今1番厳しい所は? 渡辺:同率1位で5つある。 <イベント延期地獄> 主催イベント、ツアーの延期日程を組むのが大変。 担当バンドのスケジュールがパズル地獄。 <払い戻し手数料地獄> しょうがないの分かってるけど、チケット払い戻し手数料が厳しい。 急に訪れた金融地獄。 チケット売れてれば売れてる程喰らう地獄。 <収入一気にゼロ地獄> ライブが無くなったら収入ゼロ。 作り置いてたマーチャン(グッズ)が在庫化。 固定費あるから、ゼロどころかむしろ赤字地獄。 <イメージしてた流れ崩壊地獄> なんとなく考えてた少し先のリリースプランやツアースケジュールが崩壊。 発表する前に中止になったイベントも山ほどあって、予定崩壊地獄。 <セルフマネージメント化地獄> 元々、SNSの台頭でバンドたちが セルフマネージメントの様相漂ってたことで 届く範囲に限界感じてたけど、 善意の名の下にさらに混沌化地獄。 少し先のことを考えたら、5つ目1番厳しいかも。 インタビュアー:返信めっちゃ遅いと思ったら、5つもあるんだね。 しかも全地獄。 なんかポップに言ってるけどレーベル部門に比べてマネージメント部門はかなり厳しそうな雰囲気だね。 1つ目から3つ目は大体分かるから、少しだけ掘り下げて欲しいかな。 4つ目と5つ目をけっこう掘り下げて欲しいかな。 渡辺:ポップにでも言わないと文字にしただけで、飛んでしまいたくなるからね。 1つ目から3つ目はほとんどのマネージメントがやられてる地獄やね。 特に払い戻し手数料がこんなにやばいとは正直思ってなかった。 今後対策練らないと、バンド、マネージメント、ライブハウスがやられる要素になりそうやね。 4つ目は、思い付きでやってる方の俺とかはマシなんやろうけど 年間プランで組んでるとこにとっては、かなり痛手かも。 オリンピックが来年になったことも大きいし、 いつから縛りなしでガツンとライブできるかも分からへんし、 自分の仕事を見失いそうになる。 若いマネージャー陣とかは特にやられそうやね。 5つ目は説明難しいけど、俺が大切に思ってて気にしてたことが正当にも思える理由でコントロール不能になりそう。 インタビュアー:5つ目だけ抽象的だね? 言いづらいやつ? 渡辺:説明がめっちゃ難しいねん。 長くなるし、語弊が生じるかもやけど一回書いてみます。 前提として、 他の会社でマネージメントしてもらってる場合もあるし、 半分バンドのセルフマネージメントの場合もあるし、 ほぼセルフマネージメントの場合もある、 レーベルは他でマネージメントはうちってのもあるし、 レーベルもマネージメントもうちってのもある。 俺は最終的にはバンドの判断に任したい。っていうスタンスで、 やりたいことを聞いて、なるべく命令にならないようにヒントは与えつつ方向を決めて行くっていう進め方をしたい。 ライブ1本もちゃんと報告して把握して決める。 各々が勝手に決めることは避ける。 この形がインディーズレーベルがやるマネージメントの生きる道だとも思ってるんで。 マネージメントしてるバンドはマストとして、ほぼセルフマネージメントとしても。 バンドからの提案が問題無ければ、 任せますとか大丈夫ですの一言で終わる作業やけど、細かいことでもバンドの名前が出ることなら全部確認してもらいたい。 とにかく、一旦確認して欲しい。 少しでもお金と時間を使ってサポートしてる限りは必要なやりとりやと思ってる。 今はLINEとかあるから、それほど難しいことでは無いと思うんやけど 簡単そうに思えて、これがなかなか難しい。 バンド名が出るのに、バンドが動くのに 知らないとこで物事が動いてることがある。 SNS上だから、限られた空間だから大丈夫みたいな感覚になるのかな。 発言する場も増えたから、知らない間にキャラが決まってたりする。 セルフマネージメントが始まる。 うまくいったら良いけど、確認が無い場合はイメージの食い違いが止められない。 これが今までも難しかった。 でも許容範囲で収まってることも多かった。 ここまでが今回の事態が始まるまでの話で、 俺の理想論と現状。 そして今回の事態後、 現状を受けてバンドと直接コミュニケーション取りづらくなって、 バンド側もライブが無くなって時間があって、 何ができるかを考えて動いてくれてる結果なんやろうけど、 そこに確認が伴わなくなってしまってる。 こういう時やから、みんな善意でやってることが多いし、悪いこととは思わないけど、 善意でやること=確認しなくて良い 個人的な遊び(SNS)=確認しなくて良い 仲間内でやってること=確認しなくて良い みたいなルールがなんとなくできてしまってるのが、中々厳しい。 これが <セルフマネージメント化地獄> 長すぎ? そして伝わった? インタビュアー:長いねーほぼ伝わった。 要は確認無く動くことが増えたこと、それが普通になってることがまずいってこと? ちゃんと報告してって言えば良いと思うけど。 渡辺:要約が雑やけどそんな感じ。 許容範囲やったんが、範囲外に加速しだした感じかな。 自らバンド名を使ったりバンドの写真を使うことに対して、 もちろん動画を使うことにも、 こういう時期ならまだしも、終息後もこれが当たり前になるってことは確実に今後ダメージになると思う。 直接は言わないね。 これは気付かないとダメやと思ってるから。 ここが少しややこしいとこなんやけど、気付かないと先に繋がらない。 周りがやってるからOKの中で、何かのきっかけで気付けるかどうか。 インタビュアー:数年前のインタビューでも同じやりとりあった気がするけど、 これ読んだら気付くと思うんだけど。 渡辺:それは1つのきっかけで気付いてるから大丈夫。 自分から行動起こして気付くのと、言われなきゃ気付かないの差は大きいかな。 インタビュアー:そこが自己満足とか遠回りに思えるけど、ずっとこだわってるね。 今回の事態を受けてで意外なとこが懸念点なんだね。 そんなこと考えてる人いなさそうだけど。 渡辺:さっきも言ったか忘れたけど、これが1番やと思うねんな。 色んな人が動いてくれてる中で独断で動くっていうのは、 続けていく上で致命的やし、周りに人がいなくなりそう。 セルフマネージメントっていう便利な言葉に引っ張られてるかな。 もちろん、マネージメント側も単独で動かないし。 バンドである前に個人なのは分かるけど、 ほとんどのフォロワーはバンド名で選んでくれてる人たちで バンド自体はもちろん、バンドの名前が自分のものだけでは無いっていう意識はもう1度必要かな。 アーティスト写真はこんなんが良いとか、 テレビ露出は基本的にしないとか、 ツアー多めとか少なめとか、 イベント、対バンを決める基本ルールとか、 これだけはこだわってるから譲れないとか、 3年後の目標を見据えるとか。 マネージャーが考えてたことが、1つの露出で一気に台無しになるかもしれない。 もちろん、うまくやれるバンド(バンドマン)はいる。っていうのも受け入れてる事実やけど。 そこには、確認を経てのレーベルやマネージメントの意向が反映されてたり、 個人のセルフマネージメント能力が極端に優れてるだけやと思ってる。 大抵の独断はうまくいかない気はしてる。 俺は人の意見を多めに聞くタイプやから余計に危惧してるんかもね。 インタビュアー:なるほどね。 時期が時期だけに2本のインタビュー共にちょいと重めになったね。 渡辺:ただの愚痴みたいになったね。申し訳ない。 なんか質問考えてきてない? 一問一答みたいなん。 インタビュアー:考えます! 下記からは5/5(5月5日 に統一)深夜 インタビュアー:渡辺 旭に聞く5の質問 Q1.2020年5月現在、音楽サブスクをどう思ってますか? 渡辺:音楽を拡げるのに素晴らしい手段やと思ってる。 ただ絞り込むことに、けっこうなセンスが必要かなとも思ってる。 Q2.2020年5月現在、配信ライブをどう思ってますか? 渡辺:本来のライブハウスに取って代わるほどの存在にはなれないと思ってる。 けど、本来のライブハウスに戻れなかった時は主軸になる可能性があるとも思ってる。 Q3.2020年5月現在、ライブハウスをどう思ってますか? 渡辺:制限が無いライブハウスが帰ってくるには慎重さと大胆さが必要やと思ってる。 けど、考えすぎなだけやとも思ってる。 Q4.2020年5月現在、CDをどう思ってますか? 渡辺:本当に無駄な物になるまでに恩を返し続けたいと思ってる。 でも、結局恩を受け続けるとも思ってる。 Q5.2020年5月現在、フェスをどう思ってますか? 渡辺:万人へのご褒美みたいな存在でいて欲しいと思ってる。 でも、ライブハウス復興のためキーポイントになるかもとも思ってる。 インタビュアー:最後になんかありますか? 渡辺:長々とありがとうございました。 マネージャー候補募集中です。 要普通免許&要良識


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渡辺 旭(THE NINTH APOLLO / BRONZE / Born From Live House)

official web site ≫ https://bornfromlivehouse.com



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